今週の読書履歴
人に本を薦めるとき、感想を言うときに、「おもしろい」としか言えない語彙力のなさが恨めしい。そんなことを考えた今日この頃です。というわけで、今週は3冊。
- 作者: リチャード・クラフォルツ,アレックス・クラークマン,三本木亮
- 出版社/メーカー: ダイヤモンド社
- 発売日: 2005/12/02
- メディア: 単行本
- 購入: 1人 クリック: 114回
- この商品を含むブログ (32件) を見る
久々のTOC本。ゴールドラット博士の著作じゃないけど、装丁は合わせてあるし翻訳者の方も同じです。
ゴールドラット博士の「ザ・ゴール」シリーズが、TOCの総論やそれぞれのツール(DBR、思考プロセス、CCPM、スループット会計など)について書かれたものだとしたら、こちらはよりメタな視点からTOCを見たものになっています。
この物語には、会社という「組織全体」にTOCを適用して儲けつづける仕組みを作っていく、その姿が描かれています。How Toではないので、ツールの使い方は説明されていません。多少の知識があった上で、実際にTOCを適用しようとたときにとまどいそうなことが書かれています。なので、上記のほとんどのツールが登場します。
というわけで、注意。TOCの初見で読む本ではないです。絶対についていけない。「ザ・ゴール」だけを読んだくらいでもキツそうです。TOCの各ツールについて、多少なりとも前提知識がないと、何が書いてあるかわからないと思います。というくらい、「TOC用語」が突然出てきます。初心者に優しくないですねぇ。入門書じゃないのでこれでいいんでしょうけど。僕はある程度勉強していたので、「あ、これはアレだな」なんて思いながら読めたんですが。
後半、営業戦略にTOCを導入する話になるんですが、実はここからが物語の真骨頂。製造や営業などの各々の部署を個別に最適化しても、組織として儲けつづけることはできない。それは、それぞれの部署が従属関係にあるからで、例えば営業がいくら頑張って注文を取ってきたとしても、製造が追いつかなければお金にはなりません(逆に顧客を逃すかもしれない)。逆の場合でも、在庫が増えるだけです。組織として儲け続けるためには、組織全体を最適化し、儲けつづけるプロセスを作らなければいけません。この「儲けつづけるためのプロセス」を、本書中では「キャッシュマシーン」と呼んでいます。
読んでいてとにかく感じるのは、僕(ら?)が問題解決をするとき、いかに「できるだけ変えないようにして良くしていくか」を考えがちかということ。変える、というのは、それだけ抵抗が大きい。ご多分に漏れず、本書の中にも「抵抗勢力」が出てきます。「俺は今までだってこのやり方で成功してきたんだ。このやり方で間違いない。」と独断で行動を起こしたりします。
TOCを導入する際に大事なことは、「変化をいかに起こすか」。パラダイムシフトが重要。この本の内容は、多少"ご都合主義"な感じがしないでもないのですが、ヒントにはなりそうです。
以下、余談。
物語として読むなら、「ザ・ゴール」が一番面白かった。今読むと、また違った感じを受けるだろうなあ。また読んでみようっと。
- 作者: 米光一成
- 出版社/メーカー: ベストセラーズ
- 発売日: 2007/07/14
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
- 購入: 15人 クリック: 173回
- この商品を含むブログ (67件) を見る
最近、わりとあちこちで話題になっているみたい。何も考えずに見ると、本当にゲーム攻略本にしか見えない。文字は大きくてページ数は少ないので、比較的さっと読めます。
"冒険"と書いて「プロジェクト」と読む。
"勇者"と書いて「あなた」と読む。
"王様"とかいて「うえのひと」と読む。
というように、プロジェクトをゲーム(RPGですな)のメタファーで表現し、「冒険」を成功させるためには「勇者」は何を考えればいいのか?を記した本です。ここでの「勇者」は、プロジェクトリーダーにあたります。
内容は、プロジェクトファシリテーションとかなり似通った部分もあるのですが、とにかくわかりやすいし読みやすい。ページ数が少ない分、中身が凝縮されているので、捨てどころがない。
冒険の設定の重要さ(冒険全体を俯瞰するための「冒険の地図(プロジェクトマップ)」を作成するとよいそうです)やアイデア出しミーティングの方法など、具体的で実用的な内容もあります。オススメ。
- 作者: アービンジャーインスティチュート,金森重樹,冨永星
- 出版社/メーカー: 大和書房
- 発売日: 2006/10/19
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
- 購入: 156人 クリック: 3,495回
- この商品を含むブログ (418件) を見る
続編が出るというので(購入済み)、積んであったのを引っ張り出してやっと読み切りました。結果は、「もっと早く読んでおけばよかった!」
あちこちで評判になっていた本なので今更言うことはないですが、これは本当に素晴らしい。言ってることはごくシンプルなのに、凄く奥が深い。いろんな人に一度は読んで欲しい。
しかし、「箱」という表現・概念の、なんと素晴らしいことか。ふと自分をふりかえるときに、箱の中にいるか、外にいるか、って考えると、とても意識しやすい。普段の生活でも、「果たして、今自分は箱の外に出ているか?」なんて考えるようになりましたよ。まだ「箱の中にいる!」と感じるときも多いですけどね(^^;