「現場力と見える化」講演会

「現場力を鍛える」「見える化」「ねばちっこい経営」なんかの著書で有名な遠藤功さんの講演を聴きました。というわけで、簡単なレポを。

  • 「現場力」とは自ら問題を発見して自ら解決する職場。一部の人だけががんばるのではなく、全員が理解して全員が参加(=点ではなく面)しないと、組織能力としての現場力はつかない。
  • 問題のない会社、現場は存在しない。問題に対してどう向き合うかが重要。
  • 問題には、2種類ある。"現状"と"標準・基準・ルール"の差(ギャップ)と、"標準・基準・ルール"と"あるべき姿"との差(乖離)。つまり、問題を発見するためには"標準・基準・ルール"が必要。
  • カイゼンは、PDCAの"CA"が大事。やってやりっ放しじゃダメで、やってチェックしてナンボ。チェックした結果を学習し、次の"PD"につなげなければいけない。
  • 重要なのは現場リーダークラスの質。ここが一番バラツキがある。ここを徹底的に高めることで、現場の品質を上げ、会社の品質を上げていく。
  • 成功の「型」や標準が必要。「型」や標準がなければ、問題は浮かび上がってこない。
  • 見える化」は、問題発見を効果的に行うためのもの。問題が見えない「見える化」は、真の見える化ではない。ムダが見えているからとれる。お客様の不満が見えているから改良できる。
  • 問題が発生したら見えるようにするのでは遅い。問題が発生しそうな場合は、誰かが兆候を感じているもの。その「兆候」を見えるようにする。みんなに見せる。
  • 見える化」の原点はアンドン。現場の担当者が問題を発見したら、発見した人間が告知(アンドンを灯す)し、チームで問題を解決する。
  • 見える化」とは「共通認識」をつくること。同じものを見ているからといって、同じ認識とは限らない。共通認識を作るためには、対話(トヨタウェイ的には「必死のコミュニケーション」)が必要。
  • やることも大事だけどとにかく「やり続ける」ことが大事。10年はやらないとダメ、10年続けるとクセになる。カイゼンを英訳すると"Continuous Improvement"(継続的改善)になる。ところが、日本語にすると"Continuous=継続的"の部分がなくなる。実は、この部分が重要。

ソフトウェア開発の「見える化」は、遠藤さん曰く「まだまだダメ」なんだと。現場改善や見える化で、本当の「強い企業」を作るためには、各チームごとで実践しているという「点」レベルでは不十分で、全社的に「面」レベルで広げていく必要があるんだけど、ほとんどがそうなっていないそうです。

チーム=点レベルではすごくよい実践を行っているところもあるんだけど、いざ標準化とか横展開しようとすると、「あのチームはうちと違うからねぇ、うちは自分で考えてやるよ」みたいな感じの反応になるらしいです。

私は著書を読んだことがなかったのでわからなかったんですが、全体的には本に書いてある内容をわかりやすく話したという感じみたいです。目新しい内容があったわけではないけど、あたらめて考えるところはあったなあ、という印象。